リアルパトレイバーパトレイバーモバイル

TOKYO WAR MOBILE POLICE PATLABOR

　ベイブリッジを爆破したのは、自衛隊の戦闘機ではないか。
　政府と自衛隊は疑惑を全面否定するも、警察庁は自衛隊に対する警戒態勢を強める。そんななか成田空港管制室のレーダーが、空港上空を通過し首都圏へと向かう自衛隊機を捉えると、にわかに自衛隊によるクーデターの疑いは濃くなっていく。
　警察が自衛隊との対決姿勢を明確にすると、事態は悪化。ついに東京は"戦争"へと突入していく。

　93年公開の映画『機動警察パトレイバー２ THE MOVIE』を、翌94年に富士見ファンタジア文庫で同作監督が『TOKYO WAR』と題して前後編２冊で小説化。文庫版に加筆修正を加え、05年にエンターブレインから「完全版」として出版されたのが本書。

　文庫版と完全版との主な違いは以下のとおり。
　・文庫版にある末弥純氏による挿絵は、完全版にはない。
　・文庫版前編に収録されていた、パト２の脚本家、伊藤和典氏による解説は、完全版にはない。
　・完全版によせた著者による新たなあとがきがの挿入。
　・レイバーの個数単位が、文庫版では「機」だが、完全版では「輌」になっている。

　映画では時間の制約によりカットされたシーンや、表現の難しい心理描写、状況説明、薀蓄等々が、小説では存分に語られている。
　小説だから分かりえる、もうひとつのパト２が、ここにはある。

　映画も小説も「いかに東京での戦争を描くか」と「いかに"日本人と戦争"を語るか」の二つのテーマに重点が置かれている。
　一般的に期待されるような、登場人物への感情移入や、物語による感動の類は、本書の主題ではない。
　もちろん、組織の中で意を実現する後藤や、少女からの成長を見せる野明など、特車二課の面々による活躍も描かれるが、それはこの作品を「娯楽映画」や「物語小説」に落とし込む仕掛けにすぎない。
　読者は、押井監督の代弁者たる後藤、荒川、柘植の持つ独特の戦争観を、物語を通して読み取っていくつもりのほうが、この作品を楽しめると思う。
　かく言う私は、後藤隊長のファンであり、彼の行動を理解する過程を通して、この作品の奥深さを知ることになった。

　本書は押井監督の処女小説だが、その後の作品にも共通する、個人趣味的な軍事描写、膨大な薀蓄、克明な食事シーンなどがあり、まさに押井小説の原点と言えるだろう。

　映画を観て、その戦争観になにか感じるものがあったなら、強くおすすめできる一冊。

機動警察パトレイバー AV-98 イングラム 1号機 (ノンスケールプラスチックキット)

組んでみた感想としてはパーツ数が少なく抑えられているため非常に作りやすかったです。
素組みだけなら1時間程度で作れてしまうのではないでしょうか。
一部のパーツに最初から塗装と印刷が施されているのはコトブキヤさんのお家芸ですね。

造形に関しては文句なし、各部のバランスが良くちゃんとデフォルメされたイングラムしてます。
可動に関しては膝が曲がらない以外は割と動きます。
そのおかげで小さいデフォルメされた体型でもリボルバーカノンやスタンスティックを使ったポーズが映えます。

不満点としては塗装派には優しくないということ。
最初からタンポ印刷されている箇所のデカールは付けてほしかった。
あとナンバープレートの部分はタンポ印刷もなければシールもないので完成しても真っ白になりちょっと寂しい感じです。

とは言えキットとしての完成度はとても高いと思います。
部分塗装と墨入れで大分引き締まるはずです。
次弾のホワイトグリントも期待できそうなので今から楽しみです。