星守る犬
このお父さんは、奥さんにとっては物足りなかっただろうな。
パートや親の介護、娘のこと、もっと夫婦で考えたりぶつかったりしたかったのかもしれない。
あとがきの「普通」「真面目」ということが
ある人にとってはそう映らないこともある。
「無気力」「流されている」と取られることもある。
でも常に完璧な人間はいないし
お父さんは無気力であり続けたわけではないよなあ。
お父さんなりの精一杯が
車の中で死んでしまうことだったなら
彼にとっては、それでいいのではないだろうか。
ハッピーをお供させるのはベストではなかったかもしれないが
ハッピーは理屈なしにお父さんの側にいたがった。
犬はそういう生き物だよね…とますます愛しくなりました。
続・星守る犬
続編が出るらしいと聞いたときは『ん?』と思いました。二匹目のどじょう狙いで無理矢理話を作ったりしてはせっかくの世界観が壊されてしまうのではないかと危惧したのです。ところがとんだ杞憂でした。続編という枠を越えて、十分魅力的で温かい素敵な作品でした。誰からも見向きもされなかった人間とわんこが、自分を必要としてくれる誰かと出会うことで生きる希望を得るというストーリーです。絶望からの再生、『生』への希望、温かい感動の涙があふれて止まりませんでした。サブキャラがチャーミング。犬が可愛らしい!読み終わりもう一度表紙のわんこを見つめて、よかったなあとつぶやきました。涙に濡れた微笑みが静かにひろがる読後感でした。