イノセンス オリジナル・サウンドトラック
世界を震撼させたジャパニメーション「攻殻機動隊」(1995)の続編となる押井守の新作「イノセンス」のサウンドトラック。もちろん音楽は川井憲次氏。本作の大きな特徴は前作の音楽的モチーフと雰囲気を踏襲した点にある。中でも「傀儡謡」と題された3曲は今回も民謡歌手の歌唱により、エスニックな雰囲気を盛り上げる。また、「攻殻」ではアクションシーンでも静謐ながら脈々と映画に鮮血を供給するような雰囲気があったが、今回もこれを踏まえながら、さらにダークなイメージで激しい脈動が聞こえる。音楽自体がより支配的なものとなった感がある。また、「THE DOLL HOUSE」では印象的なオルゴール音が効果的にメロディラインに用いられる。チャイコフスキーのバレエ音楽が病的に変容したかのようなホラーな雰囲気は、川井が音楽を担当した「リング」シリーズにも似通う。また、本作では民謡以外にも「声」のイメージを尊重しており、予告編ですでにおなじみの伊藤君子が歌う「Follow me」はロドリーゴのアランフェス協奏曲をアレンジしたものだが、ここで収録されている川井版はヴォーカル・ソロから開始され、ピアノ、パーカッション、ストリングスが加わって行くもので、存外にロマンティックな印象を受けた。最後の退廃的な救いがこの曲に秘められている。また、もう1曲伊藤君子が歌うジャズ風歌曲「River of Crystals」は歌詞を坂本美雨が担当していることも注目だ。(当初坂本がヴォーカル参加する予定もあったらしい)。いずれにせよ映像音楽家川井の力量を感じさせてくれる1枚には間違いない。川井は、押井守と組んで製作した実写映画「アヴァロン」のサウンドトラックがフランスではCD売上チャートで2位に入ったほどの実力者。押井守の名とともに川井も世界の名になっていくのだろう。
LAST FOREVER Tokyo Bunka Kaikan 11.02.2008[DVD]
このDVDが出るまで、”原 信夫とシャープスフラッツ”を知りませんでした。
テレビに原 信夫さんがが引退されるということで出演されていて、そのお人柄に惹かれ、すぐ購入しました。
普段は、Sound Horizonとか聴いてますw
クラシック、オーディオは少し興味があります。
幾度と無く、その後聞いていますが、DVDとは思えない音がします。
SACDが出ているのを知って、どんなに上回る音だろうとドキドキします。
原 信夫さま、お疲れ様でした。
素晴らしい音楽を、新参者にもありがとうございました。
ライヴ・イン・ニューヨーク 1994 [DVD]
ベテラン・ジャズ・シンガー伊藤君子が94年3月24日にニューヨークのジャパン・ソサエティー・ホールで行なったライブの映像作品。
選曲は「All Of Me」のようなジャズのスタンダードナンバーからビートルズの「Love」、ビリー・ジョエルの「New York State Of Mind」、サイモン&カーファンクルの「明日に架ける橋」などポップスのカバーまで幅広く聴きやすい。
NY ALL STARSのバンド名通り、ニューヨークのファースト・コールのミュージシャン達がバックを固めている。80年代からニューヨークのトップ・ミュージシャンを起用し続けていた伊藤ならではの人選と言えるだろう。
ガッド、キューバと並んでいるとガッド・ギャングあたりを彷彿とさせるような顔ぶれだ。そのためだろうか野力奏一のローズはかなりリチャード・ティーっぽく弾いているように聴こえる。
そのつわもの揃いのミュージシャンの中でも光っているのはギターのジョン・トロペイの演奏だ。
古くはデオダートのサポートから最近でも精力的にリーダーアルバムをリリースするトロペイだが、ここでは「New York State Of Mind」でのソロなど随所で渋いプレイを聴くことができる。
主役、伊藤君子の歌のハイライトは何と言っても「明日に架ける橋」だろう。ソウルフルなバックのリズムに乗ってゴスペル風にアレンジされた曲を力強く歌い上げ、コンサートの最後を飾っている。
伊藤君子(vocal)
Ronnie Cubar(sax)
John Tropea(g)
野力奏一(kb)
Will Lee(bass)
Steve Gadd(drums)
Ralph MacDonald(perc)
ジャズだが?ジャズだじゃ!~津軽弁ジャズ~
故井上ひさしさんが言っていました。東北弁こそ日本の標準語なんじゃないか、と。
大学卒業後、最初に勤務していた会社に後輩として入ってきた社員が岩手の一関出身でした。
その彼と飲みに行ったとき、彼が東北弁でなにやら歌い始めたのです。歌詞は本来なら
「標準語」の歌でしたが、それを東北弁に「翻訳」して歌っていたのです。それを聞いていて
その歌がなにやらシャンソンのように聞こえていたのが、ずっと頭の片隅に残っていました。
そこへ、冒頭に上げた井上ひさしさんの言葉です。そう思う人はやっぱりいたんだとうれしく
思っていました。その矢先、ラジオで伊藤君子さんの東北弁ジャズが聞こえてきたのです。
買おうか買うまいか、悩むこと数ヶ月。思い切って買いました(というほどの金額ではないの
ですが…)。
買ってよかった。東北弁は、かつて「シャンソン」でしたが、「ジャズ」でもあったのですね。
娘に、車の中で聞かせました。喜んでいました、東北弁ってすごいって。
今まさに東日本大震災の後遺症の真っ只中にいます。このCDを聞いて、東北のすごさを改めて
認めたところです。東北は立ち直るよ、きっと、絶対! 東北の皆さん、応援してます。