ピンク・フロイド アンド シド・バレット ストーリー [DVD]
本作がBBCで制作されたのは2001年なので、その後日談として、シド・バレットが糖尿病からの合併症によって逝去したことをここに追記しなければならないのは残念なことです。
60年代後半に吹き荒れたサイケデリアの嵐の後は、ブライアン・ジョーンズ、ジャニス・ジョプリン、ジミ・ヘンドリクス、ジム・モリソンらの、薬物中毒が原因ではないかと憶測される死が相次ぎ、また近年完全復活を果たしたブライアン・ウィルソンのように再起不能を囁かれる場合もありました。しかし、シドの消息についてはほとんど情報が無く、ミステリアスな存在のまま置き去られているように思っていましたので、今こそこのドキュメンタリーは注目されるべきでしょう。
50分という短さのため断片的になっていますが、初期のライト・ショーの様子や、ボトルネックの代わりにライターでギターを弾く姿など、貴重な映像が観られると思います。また、ピンク・フロイドのメンバーはもちろん、ソロ・レコーディングに参加したミュージシャンや元恋人、建築家マイク・レナード、画家ダギー・フィールズ、写真家ミック・ロックなど、往時をよく知る重要人物にはすべてインタビューが取れていると感じます。彼らが口を揃えて語るのは、シドの天才ぶりとその後の奇行。
そして、体重が増え髪を剃り落とし、別人のように変わり果てたというクレイジー・ダイヤモンドの隠遁生活については、この作品の中でも明らかにされることはありません。やはりそれは、伝説に風化するまでそっとしておくべきものでしょう。
本編にも登場するロビン・ヒッチコックと元ブラーのグレアム・コクソンが、シドのソロ・アルバムの曲を弾き語りするのも嬉しい特典映像です。
余談ですが、オリジナル・ラブが06年1月に発表した「キングス・ロード」収録の「シー・エミリー・プレイ」は、奇しくもシド生前最後の公式カバー曲になったかもしれませんね。
百花繚乱~ベスト・オブ・ピンクフロイド~
本作のアルバム・タイトルは『A Foot In The Door』ですが、このイディオムの意味を調べてみてください。調べてみると、これは訪問販売の際に営業マンが使うテクニックの事を指して言います。
"Foot in the Door"という言葉は、ドアに足を踏み入れた状態で、 営業で訪問した人が、「ちょっと話だけでもいいですか」と足を踏み入れるように、 「話を聞くだけ」「ほんの数分だけ」といって要求を求めることを表しています。
もちろんこれは、相手が受け入れやすそうな負担の小さい要求でなければいけません。
それを考えると、本作の趣旨も自ずと理解出来ると思います。
ピンク・フロイドに強い興味を持ち始めた人なら、オリジナル・アルバムから入っても問題は無いでしょう。しかし、「有名だし、一応聴いてみるか」程度の興味しか持たない人が、例えば初期のアルバム(特に『神秘』や『ウマグマ』)をいきなり聴いて、フロイドの魅力が理解出来るでしょうか。名盤の誉れ高い『狂気』や『炎〜あなたがここにいてほしい』を真っ先に聴いて、『アニマルズ』や『おせっかい』、『ファイナル・カット』まで突き詰めて聴こうと思うでしょうか。
なんとなく聴いてみて、すんなりとフロイドの世界に入っていけて、さらにもっとフロイドを深く知っていきたいと思う様な人が増えれば、本作の存在価値も非常に大きなものと言えるんじゃないでしょうか。ピンク・フロイドは既存のファンだけのものじゃない、新たな世代にも語り継がれて行くためにも、本作は非常に意味の有る作品だと思います。
ディープなフロイド・ミュージックをドライブなどで気楽に聴いたりなんかするのにも、なかなかの優れものですよ。ビートルズの『1』の様な感じで。(それを言うと、『エコーズ〜啓示』は『赤盤』『青盤』か?)どっぷりとハマりたい時にはオリジナル・アルバムを聴けばいいのですから。
p・u・l・s・e
ピンク・フロイドのp・u・l・s・eが遂にDVD化。
やはり売りは傑作『狂気』を全曲演奏しているところでしょう。
メンバーにロジャー・ウォータースがいないのが残念ですが、充分に見応えのある演奏をしています。
画面の変に凝った作りをしてないし、安心して観ていられます。
後は、ゲスト・ミュージシャンがはいることで、ニック・メイスンの微妙にリズムがもたつくというフロイドらしさが失われているのがちょっと残念かな(笑。
まあいくつかの難点も個人的には十分許せる範囲ですし、自分としては好きで繰り返し観れるソフトです。
レコード・コレクターズ 2006年 10月号 [雑誌]
予想通り(笑)レコード・コレクターズで特集記事が掲載されていたので、書店で目撃した時には即買いでした。
表紙には若かりし頃のシド・バレット様が掲載されているではないですか。
有難い事です。ピンク・フロイドの1stを友人に勧められて聴いたのは大学1年くらいの頃で、確かカセット・テープで渡された音源です。
正直なところあのヘンテコにも思える音楽は、僕自身の音楽の観かた聴きかたを揺さぶるには十分な代物だったと記憶しております。
1stの異質さを期待してピンク・フロイドを聴くと、「あれっ?」というふうになり、有名な「狂気」「原子心母」等々を聴いていくうちに、1stとは明らかに違うバンドであると解ってしまうと、1stのヘンテコさを他に求めましたが何処にも無い音だと知った時にはがっかりしたものです。
シド・バレット様のソロは一枚持っていますが、何だか・・・よく解らないコトになっていたのでお蔵入りしてしまいました。
「マッド・キャップス」はまだ・・・聴けるのかな?(作品レビューを読んで思いました)
CDを持っていないので買おうかなとは考えています。
さすがに毎度の事ですが、この雑誌の作品レビューや詳細な記事には頭がさがります。
この充実した内容で1000円を切る価格は素晴らしいと思いますが・・・マニア向けかも?