モンキービジネス 2011 Fall vol.15 最終号
柴田元幸責任編集の季刊の文芸誌。vol.1の野球号から始まり、創刊以来欠かさず読んできたこの雑誌が、今回のvol.15で最終刊を迎えた。和洋問わず、良質な作品を届けてくれたことに感謝したい。
本当に残念。創刊号を読んだときに、「これは自分好みの雑誌だ」と直感して、毎号楽しみに読んできた。期待を裏切ることもなく、いや、毎号、自分の期待を上回る作品を読ませてくれた。この雑誌がなかったら、出会わなかった作品、作家も多かっただろう。本当に惜しいなぁ。どっかで続けてくれないかしら...
最終号の今回は、巻頭にマーク・トウェインのトム・ソーヤ−の冒険が全部収録されている。もちろん、名前は知ってるし、子どもの頃読んだ記憶もあるが、全部読み通したのは初めて。こういう機会がなかったら、おそらく二度と読むことはなかっただろう。
気になるのは、連載されていた古川日出男の作品。これって完結なんだろうか?どこかで単行本として出るのかな?
SWITCH 25周年特別編集号 特集:井上雄彦
Switch,25年を記念した一冊. 主に,井上雄彦先生の,最後のマンガ展,仙台最終重版を特集. 最終となる仙台会場を歩いての,井上先生の感想が読めます. そして,最後のマンガ展,上野,熊本,大阪,仙台,それぞれの展示ポスターを収録. 仙台版の展示ポスターは,折りたたみ形式になっており,横長で,海を背景にした,少年の武蔵の迫力が圧巻な作品!! 最後のマンガ展と平行し,仙台で開催された,バガボンドのアシスタント体験が出来る,ワークショップの記録も掲載. 小中学生が描いた,十人十色のバガボンドの完成原稿が,感想文と共に見れます. 更に,仙台会場入口に井上先生が描いた,巨大壁画のメイキング映像を,本誌連動として,完全無料で“Switch App(スイッチアプリ)"にて公開!! 巨大壁画の制作過程を追った“THE MAKING OF 井上雄彦 最後のマンガ展 最終重版"が,iPhoneとiPadで観れます. バガボンドファンは,是非,鑑賞してみて下さい!! 仙台最終重版に行った方も,行けなかった方も,この一冊は必見です!!
モンキービジネス 2011 Spring vol.13 ポール・オースター号
柴田元幸氏の責任編集による季刊の文芸誌。今回は、なんとポール・オースターの大特集。こういった特集はサリンジャーの特集をやって以来かな。大満足のいい特集でした。
ポール・オースターの翻訳を手がけている柴田元幸氏のことだから、いつかはこの雑誌でポール・オースターの特集を組むのだろうなって予想はしていたけれど、やはり、とてもいい特集に仕上がっている。
冒頭は、「私はジャガイモ」と題された昨年の12月にニューヨークで行われた、オースターと柴田氏の対談。ポール・オースターの翻訳経験も踏まえて、翻訳と創作の関わり合いなど若い作家志望者向けのいい対談だった。
その他、盛りだくさんの特集だけれど、最も好きだったのは、オースターの未訳のエッセイを集めた「ポートレイツ」の中の
1編、「シェイ・スタジアムでの夜」。オースターの野球好きは知っていたけど、この文章を読むと、いかに彼が野球を愛しているのかが分かる。テリー・リーチ、よく知っていたなぁ。
また、オースターの未訳5作の書き出しを集めた「オースター近作書き出し集」はずるい。早く翻訳してくれぇって、まだ、『オラクル・ナイト』も読んでいない自分だけど。
特集以外では、小澤征爾と村上春樹の対談も良かった。音楽が聞こえてくるようだった。