BoPビジネス戦略 ―新興国・途上国市場で何が起こっているか
欧米企業による有名な先行事例が多数整理されているので、実務者向けの入門本としてはタメになる。巨大企業の事例が中心だが、欧米にある小規模ソーシャル・ベンチャーがアフリカ等でかなり大規模な取り組みをやっている例も沢山あるので、そういう事例に興味のある方は本書を読んでから更に調査を進めて頂ければ良いだろう。
流れの速い領域なので、日本企業の意思決定の遅さや発想の古さを嘆いているような説教臭い章があるが、共感が湧くと同時にそういう部分はもっとコンパクトでも良かったかなと思ったので星は一つ削った。
それにしても本書で紹介されている太陽光パネル付の冷蔵庫や300時間充電不要の携帯などは超低価格な上に先進的だったりする。特に家電・携帯電話は日本国内市場の価格帯が腹が立つ程高いことを常々感じるが、この国の市場が様々な「大人の事情」の結果、技術イノベーションからも取り残されつつあることを本書で紹介された幾つかの事例から感じた。日本国内にも貧しくて困っている人々は沢山いるというのに。忸怩たる思いだ。