TORCHⅡ
若手女性ジャズボーカリスト樹里からんのJ-POPカバーアルバム、第2弾です。
彼女の声質はハスキーというより「乾いた」とでも表現したら良いのでしょうか。その歌声は前作よりも、さらに伸びやかで格段にレベルアップしているのがよく判ります。
今回の選曲も様々ですが、個人的に思う珠玉は「別れのサンバ」です。
オリジナルは40年も前に発表された曲ですが、長谷川きよしさんの曲にスポットを当ててくれたのは、とても嬉しいし、あらためてこの曲が持つ「言いようのないスゴさ」を感じる事ができました。
ただ
彼女の売り出し方には少々違和感を覚えますので、企画側には注文をつけたいです。
なぜ同じ企画モノを続けて2回も発表する必要があるのでしょうか?
確かにJ−POPカバーとなれば、セールス面での効果は多少はあるでしょうし、ジャズを敬遠しがちな方に門戸を広げる意味合いもあるでしょう。
(厳密にはこのアルバムもジャズにカテゴライズするのは無理があるでしょうが)
しかし、そのような戦略は何度も続ける意味がありませんし、それより、若く可能性のあるシンガーの能力が存分に発揮できるような舞台を用意してあげてほしいです。
昨今の日本のジャズシーンでも、若くて美しい女性アーティストが、異常なほど沢山デビューしていますが、さながらアイドル化とでも言ったらよいのか、ビジュアル先行としか思えない方が、残念ながら少なくありません。
正直、そのような状況に辟易していたのですが、そんな中にあって彼女(樹里からん)のような才能ある若い方が出てくるのはとても喜ばしい事ですし、それだけになお更、正しい評価と道筋が必要だと思います。
カバーアルバムでは計れない、彼女の才能を詰め込んだオリジナルアルバムを、ぜひ製作してあげてほしいですね。
She-loves jazz-
カウンター10席のショットバーで5連奏CDチェンジャーの中に樹里さんの3枚のアルバムをかけて毎日聴いてます。多くのお客様から「このCD誰?」と聞かれます。樹里さんの声とJazzアレンジのセンスの良さに惹かれるようです。しばらく楽しめそうです。
TORCH
コンテンポラリー・ジャズ・シンガー Julee Karan としての3作目。
彼女あたりが、話題になるのはとても喜ばしい。
フォーク・デュオとしてCDデビューした益本祐子さんの
ヴォーカルは当時から独特のグルーヴを持って結構素敵だった。
トーチというコンセプトに沿って集められた楽曲を意外にも今回は日本語で、
ムーディーかつナチュラルに歌い上げる。
彼女のヴォーカルに新しい息吹を充填され、艶を帯びた真新しい音楽として蘇ったと言える !
バック陣の極上の演奏と相まってコンテンポラリー・ジャズヴォーカルの新たな道しるべと
なりうる傑作ではないだろうか。
EUで火の付いた 1st、台湾でヒットした 2nd、も再注目される事になると思うのだけど
今後、彼女初のオリジナル作品も聴いてみたい。