変身
色々あるベストに迷いましたが携帯で皆さんのレビューを目にし、これを選んで正解でした。やはり田島氏本人の意向が反映されてこそ「作品」と呼べると思うので。そしてファンがこれを推すならここから入るべきなんだろう、と。
そして実際に今作でオリジナルラヴ(以下OL)は凄いなと思えましたね。今のロックバンドに対しお手本のようなファンクなグルーヴと、甘美なメロディラインの両立はシンプルで永久に輝く強度をもっているし、田島氏のダンディな声が自然というか、音の中にすっと溶けて調和しやすく、曲を前にしたリスナーにサウンド全体で見る視点を促すような声が素敵でした。インパクトが強すぎて他の音を食っちゃうことが無いので、音の奥行きまで楽しめるOLを発見することができました。(スクープオンサムバディらは彼のアプローチが参考になったのではとも。)
90sは10代だった私は、OLはお洒落な大人が聴く音楽と単純に思っていました。「朝日の〜」にせよ「接吻」「プライマル」にせよ、生活の角々で聴こえてきては耳に残るのに、それでいて「聞いて聞いて!」という主張をしないんです。さらっと流れてきてはすっと消えてゆく。だから紳士的で耳に凄くきれいな音楽という印象でした。しかしその印象は今向かい合うと、情熱的でストイックなポテンシャルを秘め、そして音楽の幅はお洒落だけで終らないバラエティの強さを持つ本質をみたのです。ブームの宮沢氏が「敬称略」という曲で「俺と君とがどっちがへそ曲がりか田島高男よ今度ツェーマン賭けてみよう」と言ってたのを思い出し、彼の拘りの姿勢が伝わりました。しかし、よく主張の強い流行音楽がそれを受け取って蓋を開けてみるとスカスカなのに対し、OLは獲りに行かなければならないけど、いざ蓋を開けてみると中身は宝物がぎっしりつまっている音楽です。
ロード・オブ・ザ・リング 最終章
映画「ロード・オブ・ザ・リング」関係の角川書店の大判関連本は沢山出ていますが、この「最終章」は、『ロード・オブ・ザ・リング アートブック』の続編で完結編です。
わかりにくいので、参考までに大判関連本を分類してみますと、
ガイド系=『公式ガイドブック』、『公式メイキングブック』
ストーリー解説系(内容は映画版と共に、原作も参照しているので詳しくはなっています)=『旅の仲間』、『二つの塔』、『王の帰還』
フィジカル詳細解説=『アートブック』、『最終章』(本書)
本書の内容は、『アートブック』の続編として、「王の帰還」までの内容を含む、中つ国のあらゆる文明の設定、衣装のデザイン画から小道具デザイン、コンセプチュアル・アート、実際の撮影に使われたマット・ペインティングに至るまでの、デザイン面でのすっかり完全解説本です。
すでに『アートブック』でも、そのあまりに美しく、あまりに深い考証によるデザインの数々に感嘆しましたが、特にこの『最終章』では、コンセプチュアル・アートというものの重要性を思い知らされました。
その絵のまま撮影する、ということはなくても、可能な限りの原作至上主義こそが成功の源だったこの映画において、最初に原作通りのイメージを描いた絵があることの重要性は計り知れないと思います。『アートブック』では、衣装や小道具の精緻なデザインに目を奪われましたが、この『最終章』は、読み終わってみると「絵」が非常に印象に残りました。
このアート系の大判関連本は、とにかく読みでがあります。写真を追うだけでも結構な時間と体力が要ります。デザインにとことん浸りたい人は、『アートブック』と一緒に是非この『最終章』も見てみて下さい。
リング~最終章~(2) [VHS]
高山竜司(長瀬智也)と共に、呪いを解く方法を探す浅川(柳葉敏郎)。そうこうしているうちに、息子の陽一や後輩の吉野(京野ことみ)までも呪いのビデオを見てしまいます。浅川と吉野は調査を進めていく中で、山村志津子という女性に辿り着きます。そして遂に貞子の名が・・・という所でこの巻はおしまいです。
出演者が豪華でストーリーも面白いので、なかなか楽しめる作品だと思います。
リング~最終章~(1) [VHS]
フジテレビの木曜劇場にて、99年の冬ドラとして放送された作品。
映画版と違ってホラー要素は少なく、サスペンス的な要素の方が目立っていると思います。死体が映し出される時の演出などは安っぽくて少し笑ってしまいますね。でも主演の柳葉敏郎の演技はいいし、まだ若々しい長瀬智也が演じる高山竜司(映画で真田広之が演じていたことを考えると、少し違和感を覚えますが)も怪しさタップリでいい感じ。そして何より、続きが気になる作りになっているのが大きいですね。ビデオの中古価格も安いので、興味のある方は見ても損はないと思います。