堕ちた翼 ドキュメントJAL倒産
この本は、JALだけについて分析していると思ったら大間違いだ。JALテレビ、JAL住宅、JAL自動車と、10年後の日本が直面する企業に共通する構造問題を指摘しているようだ。大鹿氏なら、この本の視点で、他の業界も鮮やかに切って見せ、問題を提示することができるだろう。「いかがなものか」などと腕組みして思考停止しながらエリート面をしている経営者、学者、ジャーナリスト、その他の面々は10回ぐらい繰り返して読むべきだろう。「市場原理主義に基づく改革は悪だ」という日本の論調に、海外のビジネスマンは驚きを通り越し、無視し始めた。情緒的に居直る延命主義はビジネスばかりでなく、日本の政治や社会にはびこるガンである。読者も横並びで「お手々つないで沈没」がイヤならぜひ一読してほしい。他のJAL本を圧倒する内容で圧巻です。
倒産処理法入門 (第3版)
特徴
・ストラクチャーがさっくりと書いてある。
・制度趣旨などは割としっかり書いてある。この点では説明不足は見当たらない。
・かなり短い。全270p程度。幅一センチちょい。フォントも小さくない。
・この分量で会社更生法〜特別調停〜破産法etc.で網羅性が高い。
・です、ますの講義調。
・論点的なところは「争いがあるけど、この頃はこういう解釈が一般的になっている」というような説明で流して、一応2行くらいで判例が書いてある。
・諸外国の倒産処理スキームも一通り紹介されている。分量も各2pくらいで、一般的な比較法的知識を多少知っておく、というくらいのつもりで読み切れる。
・脚注やフォントを落とした大量の説明、などはない。
感想
・ローに入学する前の人が、破産関係の法律を条文を読みながらさらうのにはうってつけ。つまづくようなところはないと思われる。
・この分量でこの網羅性はすごいの一言。他の本ではあり得ない速さで確認ができる。神田先生の会社法に似ている。ただし脚注等のぎっしりした説明はない。
まとめ
・つかいかたさえ間違わなければ大変使える。