マーサ・グラハムの生涯 [VHS]
~人間の内的世界を舞踏言語で表現することで、舞踏の歴史を変えたモダンダンスの母、マーサ・グラハム。
彼女の生い立ちから晩年に至るまでを、プライベートな側面(彼女の人生の二人の男性、ルイ・ホーストとエリック・ホーキンスを中心に)も紹介しながら丁寧にドキュメントしたこの作品には、もちろん、「ラメンテーション」「アパラチアの春」といった~~代表作を彼女が踊る姿やリハーサル風景、インタビューなど非常に貴重な映像が多く含まれている。それでも、彼女の生涯とその遺産を、たった1時間で言い尽くすことは到底不可能だ。
しかし、この映像が何よりも感銘を与えるのは、映像から浮かび上がる類いまれな一人の女性の姿なのである。マーさの全作品をとらえることは不可能でも、彼女の不屈の精神や意~~志、情熱は観る者に確実に伝わってくる。
ラスト、80歳を過ぎて踊れる体ではなくなったマーサが、椅子に座って生徒たちのレッスンを見ている。そんな彼女が立ち上がり、腕を動かした瞬間の雄弁さ。「動きは嘘をつけない」彼女の原点が現れている。
これは、強く、激しく、そして同時に女としての可愛さや弱さとを併せ持った一人の女性の優れたポートレー~~トである。~