恋愛睡眠のすすめ スペシャル・エディション [DVD]
シャルロット・ゲンズブールの名前に惹かれて見ました。ハリウッド映画も悪くはないのですが、こういったヨーロッパ然とした作品の余韻は他では決して味わえないものです。ただ、見終わった時に、ステファンがとても自己中心的な、オタク体質の人物としか思えなかったのは、「『好きだったから』だけでは言い訳にはならない」とつい考えてしまう大人の分別ゆえなのでしょうか。
ビューティフル・マインド ― アワード・エディション [DVD]
”米国映画に新風、それがロン・ハワード・タッチ”。僕が最初にみた彼の作品SF映画「コクーン」のパンフレットにかいてあったのだが、15年近い時空を経て、ロン・ハワードの常に一貫した人間に対する暖かい視線と、独特の美しい映像センスとが成長し、円熟し、最高傑作を生み出した。2001年のアカデミー賞作品賞だが、精神分裂病による幻覚に悩まされるひとりの学生がやがて学者となり、妻の、献身的な愛情、いや、人間としての友情に支えられながら大成してゆく姿を静かに描く、人間への信頼のものがたり。終盤、母校のカフェに数十年ぶりに座るかれのもとにおこる美しいできごとを、ぜひ、みてほしい。みたあとのヒトのこころを温かい身持ちで満たしてくれる人間ドラマです。
わが家の母はビョーキです
私はカウンセラーをしていますが、プロのカウンセラーでさえ、こと自分の身内、ましてや親、兄弟となると、自分の価値観や感情が出てしまい、冷静にカウンセリングができなくなります。それは未熟、ベテラン関係なしにです。
ですから、著者がトーシツの知識もなく31年間ずっと耐えてこられたことに畏敬の念を抱かずにはいられません。
著者も書かれていた様に、「(後に夫となられるタキさんが)第三者として入ることによって空気が変わる」。これは、非常に大切で心丈夫なことだと実感します。事実、当初は娘の旦那様にでさえ、過去の自分の病気のことを知られたくないとおっしゃっていたお母様ですが、著者がこうしてこの漫画を上梓されたのです。よほど前向きな心の変化があられたのだとお察しします。服薬も不可欠ですが、やはり周りの協力と思いやりあっての今現在でしょう。
ただ、一点だけ不安要素がありました。お母様が包丁を持ち出して著者に襲いかかるシーンが何度も見受けられますが、世間の偏見を増長させるのでは、と懸念いたしました。「精神を患った人=危険人物」或いは「殺人犯の既往歴に、以前精神科を通院していた。だから人を殺すような人は精神病者ばかり」というレッテルを貼られてしまうと、当人達はますます社会復帰しにくくなります。
そこに何かひと言、著者からの注釈が添えられていた方が良かったのでは思います。偏見有りきところに、理解と共感を得るのは、やはり困難を要しますので・・・・・。
PRANA DANCE
トム.ハレルの2008年録音のアルバムです。この人は去年初めて自分のクインテットで来日したのですが、実は演奏した曲の大半がこのアルバムの中からのものでした。普通ミュージシャンがライブを打つとなれば、レコ発で新曲やる、とか、ファンサービスで過去に書いた自分の代表曲をやるなんてのが普通ですが、この人はそうではないのです。今自分のやりたいことをやるし、昔書いた曲はやらない。それって凄いことです。しかも今回のアルバムに収録された曲はシンプルながら和声的に凝ったものやら変拍子やら曲の密度が非常に濃いです。フェンダーローズの使い方も効果的です。トムさんは永年統合失調症に苦しんでいますが、この病気のおかげでこういう姿勢で音楽を続けられるのか、病気にスポイルされなかったらもっと怪物なのかよく分かりません。分かることは今のクインテットになってからトータルなバンドのサウンドも含めて凄いことになっちゃってる、ということです。今年来たらここでやってる曲はやらないかもしれないなぁ。いやはや驚きました。