トキワ荘実録―手塚治虫と漫画家たちの青春 (小学館文庫)
トキワ荘のエピソードは多く知りたい。でも、高尚な評論は読みたくない。でも値段が手ごろなので買ってみた所、丸山昭氏というのは、当時、手塚治虫などの担当編集者だったのだ。手塚の描いてる部屋で、何人ものコワモテの編集者がつきっきりになっている絵がよく出てくるが、丸山氏はその一人だったのだ。今までは、だいたいが漫画家側のエッセイが多かったが、この本は、編集者の視点で書かれている。いかに手塚治虫を缶詰にするかとか、他社より早く原稿をあげさせるか、手塚の居場所を探すために捜査したり張り込みしたりなど、まるで、刑事ドラマのようなエピソードも多く、興味は尽きない。編集者側のあの手この手が赤裸々に書かれているという点では、貴重な1冊であると思う。