限界集落温泉(3) (ビームコミックス)
1,2巻は次々と登場人物が現れ、ストーリーの展開も変化が激しい内容だったと、個人的に思います。
しかし、この3巻は登場人物はそれなりに出尽くし、物語も激しく変化を伴って変化していく、というよりは深度を深めていくようなストーリーの進行になっているような感じがしました。
それが、1,2巻にはなかった面白さとして感じられましたし、4巻以降の展開への期待も高まりました。
あと、中願寺有希というキャラの内に秘められた禍々しさに魅かれました。
じっくり読める巻になっていて、いいと思います。
マンガ 物理に強くなる (ブルーバックス)
高校の野球でエースで4番の松山さとるは勉強が出来ず、このままでは物理で赤点をとってしまう。そんなときに知り合った久保聡美は物理が得意。さとるは聡美に物理を教えてもらうことになるのだが…。
原作者は埼玉県の高校の物理教師。力学を中心に物理学を分かりやすく紹介する漫画作品です。
私自身、高校時代は文系学生で、数学や物理の類いには随分と苦労させられました。大学入試に必要なだけと割り切ってなんとか勉強したものですが、そのとき暗記した数式などはいまやすっかり忘却のかなたです。
しかし、30歳を越えた頃から、入試勉強ではない本当の知識というものに対して俄然強い興味がわき、と同時に高校時代の不明を恥じたものです。
以来こうした「漫画で学ぶ」式の書物を思い出したように手にします。
しかし今回は、物理の仕組みを垣間見ようと思って手にした書ではありましたが、生きるうえでの姿勢みたいなものを今一度思う機会も与えられた気がします。
本書の終盤でさとるはこう自分に言い聞かせます。
「大学受験のために嫌いな科目をバカ暗記する。(中略)目の前しか見ていない。
目の前だけを見てるんじゃなくてもっと先まで見ることができれば面白いんじゃないか。
本当に先のことを考えるなら今を楽しんでいないとダメってことかな」(221〜222頁)
人生のとばぐちに立ったばかりの高校生にはずっと先の人生にまで思いをはせることが難しいものです。だからこそ、聡美に出会う前のさとるのように近視眼的に「乗り切る」ことを考えがちです。
人生を半ば過ぎた今の私には、自身の高校時代のそんな無知を、許されることなら戒めてやりたい気持ちがあります。
マンガ 化学式に強くなる (ブルーバックス)
化学の基礎のモルがしつこく解説されています。マンガで描かれて良かったと感じた点は、何度も読み返すことが苦痛にならないことです。もちろん、マンガであるために一つの解説に多くのページを使わざるを得ないので冗長になってはいます。が、返ってそれが何度も読み返す苦痛を軽減してくれています。それと、マンガであるにもかかわらず巻末にちゃんとした用語の索引がついているので親切です。