いつすべきか?119番
現役の救急救命士です。救急車をタクシー代わりとして利用しているとしか思えないような事案があるという旨の報道をよく見受けますが、その理由の一つとして、どんな時に救急車を呼ぶべきなのかといった基準を一般の方々(時には医療従事者でさえ)が持っていないことがあるのではないかと感じます。
この本は、症状別に一般の方でも十分に理解できるような分かりやすい説明とイラストがあり、すんなりと頭に入る内容になっています。普段昼間に一人で子どもの面倒を見ている方、遠く離れて暮らす高齢の家族から電話で体の調子が悪いことを言われ心配している方、夜中に症状が出たが朝まで様子を見るかどうか迷っている方などなど、これって救急車を呼ぶべき??という心配を解決してくれます。
また、付録には家の中で常に目のつくところに貼っておけるようにと、本の内容をまとめた症状別一覧表もついており、筆者の優しい心遣いを感じます。
是非、この本を読んで、みなさんの中に救急車を呼ぶ基準を持ってほしいと思います。
急性腹症の早期診断―病歴と身体所見による診断技能をみがく
「頑固オヤジによる解説!」という印象が強いです。オムニバス形式とでも言えばいいのでしょうか、頻繁に出くわすであろう各疾患、各病態が、章建てで繰り返し解説されており、鑑別疾患、その特徴的身体所見がいつの間にか頭に入る(であろう)という体になっています。解剖学の重要性についてももちろん随所に触れられており、検査に頼りがちな現状を批判する表現もありますが、自分のやり方(自分の病院のスタンダード)と比較してみるのも、また一興かと思います。量としては1日足らずで読めてしまうのもいいですね。