モサド、その真実 世界最強のイスラエル諜報機関 (集英社文庫)
イスラエルという国。
様々な問題を抱え、これといった資源や産業があるわけでない、そんな不安定な国が外交で生き残るのに唯一の資源が「諜報」なのだ。そして世界最強の諜報機関と言われているのが「モサド」なのだ。
この本には、その「モサド」についての話・インタビューが、落合信彦さん独特の力強い文体で書かれている。
日本には「諜報」という言葉はあっても、実態がない。つまり国民レベルでは全く実感できない話だったが、その凄さがヒシヒシと伝わってくる。
世界を変えた巨人たち「IF」: もしケネディ・織田信長が暗殺されていなかったら
歴史上に名を残した人物を呼んで会話をするというスタイルで、著者なりの彼らの考え方や現代日本への処方せんを提示する形式の本。
もちろん、選定された人物10人は著者の尊敬する人たちであり、その発言も著者の考え方が示されている。
著者なりの彼らが生きた当時の時代考証や彼らの生涯をコンパクトに切り取って、対話形式にしておりそれぞれ興味深く読める。
また、彼らの口を借りて、著者の日本への提言を行っているところがミソである。
あえて彼らの声を使って代弁させているが、その主張はやや過激である。たとえば、尖閣問題。強硬姿勢を取った中国に対し、日本もあえて自衛隊を派遣し対立関係をつくる。そのうえで、アメリカの出方を探る。アメリカが出れば中国は引き下がらざるを得ないと信長に言わせ、 また、中国や北朝鮮に対しては、原爆をつくりかつその存在をあいまいにしておくことであるとハンニバルに言わせている。
また、日本の政治については、「政治家は国民を馬鹿のままにしておきたい。だから実現不可能などんなことでも約束する。国民は何も考えずにその約束を信じる。このままでは、日本は没落の一途をたどる。」とソクラテスに言わせている。
また印象深いのは、著者が最も尊敬しているケネディの章である。
あのキューバ危機当時、軍部からの圧力に屈せず、フルシチョフとの交渉でミサイルを撤去させた手腕。そして、ケネディ暗殺事件の真相。封印された調査記録が明らかにされる2039年が楽しみになった。
序章で著者が紹介しているヘーゲルの言葉が印象深い。
「歴史が我々に教えることは、人類は歴史から何も学ばないことである。」