幻の城 -大阪夏の陣異聞 新装版 (祥伝社文庫)
大坂冬の陣・夏の陣を背景とした長編時代小説である。
真田幸村と配下の忍たちを中心にしつつ、しかし、主人公には宇喜多秀家が据えられている。ちょっと面白い趣向だが、読んでいくとこれがまた面白い。秀家の強烈な個性や魅力がしっかりと描かれており、読み応えがあった。脇役たる家康や後藤又兵衛なども、きちんと造形されており、いい味を出している。
ただ、全体にバランスが悪いように感じた。読んでいて、あまりにも虚しいというか。それが大阪城を巡る戦いではあったのだろうが。
江 浅井三姉妹 戦国を生きた姫たち (ポプラポケット文庫 伝記)
織田信長、豊臣秀吉、徳川家康…。
戦国三武将と関わりが深く、
その血筋ゆえに時代に翻弄され続けた
三姉妹、茶々、初、江。
物語は、父、浅井長政が織田信長によって
自害に追い込まれ、
母・お市の方とともに預けられた
織田信包の城から
織田信長に会いに行くところから始まります。
父の敵であるはずの織田信長に
強く魅かれる江。
しかし、その信長も本能寺の変で亡き人になります。
新しい父である柴田勝家、最愛の母の死、
江は手に入れた幸せを次々に
手放さなくてはいけなくなります。
戦国時代という過酷な時代を生き抜いた江。
その凛とした美しさ、心の強さに
胸を打たれます。
ラストはせつなさに涙を流すこと必至。
大河ドラマとは一味違う物語です。