本書は上川さんが政治家になるまでの道のりと、政治家になってやってきたことが書かれている。性同一性障害者特例法も、内容は知っていても成立に至った過程はほとんど知らなかった。例えば「結婚していないこと」という要件は、同性婚を遠ざけるものなのではないかと苦々しく思ったりさえしていた。しかし本書を読んで、法案成立させるために上川さんがどのように頑張ったのか、法案をつぶすようなことだけにはならないようにとどんなに苦心したかがよくわかった。このようにして成立した特例法が、性的少数者全体にとっての一歩となったということも。また、それ以外の少数者、外国人や一人親家庭、障害者にとっての「小さな声」を行政に届け、成果を上げてきているということも書かれている。そして、声を行政に届けたかったらどうすればよいかということ。請願権についても全然わかっていなかった。学校の社会科では、政治は何をしているかは教えても、政治にどのように関わっていけばいいかは全く教えてくれてなかったんだと今になって気づいた。政治にどのように関わっていくかということこそが、自分の抱える問題をどのように解決していくかということに他ならないのだ。自分で解決する部分は自分で解決するが、残りを諦めるのかそれとも社会全体の問題として解決していくかは大きな違いだ。社会科の教材として取り上げてくれるような先生はどこかにいないだろうか。 変えてゆく勇気―「性同一性障害」の私から (岩波新書) 関連情報
パッケージに写っている全身写真の女の子。華奢で可愛い感じの娘ですが、男性です。相沢咲姫楽(あいざわさきら)、恐らく戸籍上はアキラというのでしょう。主人公の心の支えとなっている歌手役の中村中も、紅白で既にご存じの方が多いと思いますが、元・男性です。 ゆえに、このドラマは、ほぼドキュメンタリー(実話)と言っていい内容です。本物の人が演じているため、非常に説得力があるというか、真実の重みがあります。 相沢咲姫楽さんは、実生活でも役者を目指しているそうで、基礎があるため、演技は非常に上手いです。タイトルがタイトルなので、多分そういうドラマだろうと思って見始めたのですが、それでも、あまりの可愛さに驚いてしまいました。 鮮烈だったのは、スーパーで買い物をするシーン。遊んでいる子供達を見守る、優しい表情に、ハッとさせられました。確かにあれは女性ならではの仕草ですね。こんなに可愛いなら、付き合ってもいいかなぁ〜、なんて安易に考えてしまいました。 周囲の人にカミングアウトし、両親を説得して行くのですが、就職、恋愛・結婚など、まだまだ困難が待ち受けています…。周囲の人の違和感を消し去り、自立できる社会へ。絵的にも可愛らしく、この問題の「入り口」となるには、十分な作品だと思います。主題となる曲「友達の詩」も、繊細さと迫力を持った素晴らしい歌です。 私が私であるために [DVD] 関連情報