ロバのパン物語
「ロバのパン」と言っても、今の人たちは誰も知らない。 敗戦後の日本がようやく復興の兆しが見えてきた中、この「ロバのパン」は光り輝く未来の象徴であり、昭和30年代の栄光の思い出である。 生まれ育ったところは田舎だったが、稲刈りや麦刈りの季節、近所の農家の子どもが羨ましくて仕方がない時があった。農作業の合間のおやつとしてロバのパンを食べていたからだった。村に一軒しかないの駄菓子屋しかない時、砂利道の向こうから軽快な音楽を鳴らしながら紅と白の縦じまに塗られた車体をロバが引いていく。ショーケースには色とりどりのパンが並んでいる。 ケーキなど年に一度口にすることができるかどうかという頃、「ロバのパン」は夢とあこがれだった。 母親の機嫌が良い時か給料日直後なのか、幸運にめぐり合わせてチョコレートパンにかぶりついたときには、蒸しパンとはいえその甘さに喜びは頂点に達したものだった。 しかし、遠くからロバのパンの歌が聞え始めると、そそくさと用事を見つけて母親が姿をくらます時には「食べたい」けど「食べられない」の悶絶の苦しみが待っていた。 そこに近所の農家の人たちがおやつとして「ロバのパン」を食べている。その大人たちの輪の中に幼なじみがうまそうに「ロバのパン」を頬張っているのを見たときには、羨望と情けなさが入り交じって下を向いて他所に行くしかなかった。 ときおり、ライトバンにメロンパン、タコ焼き、わらび餅などを積んだ車を目にするが、移動販売の元祖ロバのパンも今や軽自動車である。たまたま営業の途中、京都の亀岡市でその車をみかけたが、時代の変遷とはいえロバのいないロバのパンは淋しかった。実際はロバではなく、ポニーとも馬ともいわれていたが、これが買っている最中に糞をするのにも懐かしい思い出である。「ロバのパン」のテーマソングがCDとして付いているが、これを聴くと一挙に昭和30年代の世界へと引き戻されてしまう。
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やっぱり猫が好き殺人事件 [VHS]
2時間ドラマになった「やっぱり猫が好き」です。いつもは3人だけですが、このドラマには萩原流行さんや宍戸開さん等、個性的な俳優さんが出演していらっしゃいます。ちょっとした役で西村雅彦さんや、小林聡美さんと結婚する前の三谷幸喜さんの姿も。2時間ドラマになってももちろん、しっかり笑わせてくれますよ!
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馬鹿よ貴方は -第4回単独ライブ- [DVD]
買って損はないです。漫才のイメージしかなかったですが、コントでの馬鹿よ貴方はも本当に面白いです。元とれるぐらいヘビロテで見まくってます。
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デパートB1物語 (平凡社新書 (009))
洋菓子職人として、ヨーロッパで修業し、帰国して開業、デパート地下にも出店した著者が、日ごろのうんちくを書く。デパートの地下の名店街は日本独特のものだそうだ。名店がショーケースの中に自店の定番商品を飾り、各名店がしのぎを削っている。客がひしめき食品売り場の売り上げはデパートの中でも多い方だ。奈良漬けで酔った子ども、紛れ込んだネズミがケーキの箱の上に乗った騒動が、週刊誌にまで書かれたトラブル、菓子で心を癒された女性からの感謝の手紙など、エピソードが沢山紹介される。新書本でデパートを扱ったものは少なく、食品売り場に限定した物はさらに少ないと思う。高級な菓子が並んでいても、普段なかなか手が届かない。横目で見て通り過ぎる場所。そこが何なのかこれまでは考えることも無かった。
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掃除と素材の入手が面倒だけどおいしかったまあぶっちゃけドトールとかの方が良い豆使ってるのとか無視すればコスパも良い気がする
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