http://www.vitas-japan.com/ 2011年2月12日、ロシアのTV番組『It Is Allowed To Laugh』の収録現場より。 純白の衣装、銀の肩章が高貴 ...
広川あけみ ランキング!
1970年1月6日に東京 渋谷公会堂で行われたコンサートのライブレコーディング。発売時に持っていたLPが見当たらなくなり、CD化で久しぶりに聴くことができました。当時のファンには勿論懐かしいにですが、それ以上にとてもすがすがしい気分になりました。登場グループも多彩ですし、いい按配です。それぞれの曲も、代表曲でないものが多く、かえって楽しめます。 曲目とミュージシャン:エブリデイ(ザ・メイ・フォーク・シンガーズ)、サウンド・オブ・サイレンス(ザ・ブラック・バーズ)、青春の光と影(広川あけみ)、いなかへ行こう(マヨネーズ)、ふるさとのおねえさん(リトル・マギー)、さらばジャマイカ(黒沢久雄)、帰らない人(小野和子)、ザリガニ交響曲作品「への6番」(ザ・リガニーズ)、あの橋をわたろう(トワ・エ・モワ)、さよならと言わせて(同)、悲しみのジェット・プレイン(ジ・オフコース)、嵐の丘に立つ時(フォー・セインツ)、小さな日記(同)、カフェ・ル・モンドのメニュー(加藤和彦と小野和子)、今日の日はさようなら(全員)。 カレッジポップス 出初式(紙ジャケット仕様) 関連情報
「海のトリトン」は、ガンダムで有名な富野喜幸(富野由悠季)氏のシリーズ演出作品です。当時の一般的なTVアニメとは異なり、スポーツ物の典型である強い好敵手と戦うのでもなく、わかりやすい勧善懲悪ものでもなかった、ということが、この作品の新しさであると思います。第1話では主人公トリトンは、海獣に襲われて、それを倒すのですが、その一連の戦いは、トリトンの育った漁村では、「迷惑」なことでしかありません。この第1話で出てくる、「おトヨばあさん」は、子供にお菓子を配る優しい人物ですが、トリトンのことは「わしゃあ、お前さんの緑色の髪の毛が嫌いじゃい」と言って差別します。このように、「子供向けの分かりやすさ」から一線を越えて、物事の両面を淡々と描くというドラマ作りが「海のトリトン」の魅力です。通常のアニメ作品の主人公は、「悩まない」ものだと思います。苦悩は「ライバルや敵をどう倒すか」という過程で、いわば、作話上の都合で作られる人工的な苦悩です。その苦悩は、主人公の成長をもたらしません。勝てば「良かった」で終わるだけのものに過ぎません。しかし、「海のトリトン」では、主人公は、「自分は、こんな戦いではなく、普通の生活をした方がいいのじゃないか」とか、「どうして、自分がこんなことをしなくてはいけないのか」と悩みます。このように通常の勧善懲悪のストーリーとは異なり、主人公トリトンは、自分の戦いが正義であるかどうか、ということに、確信を持てないまま、運命に巻き込まれて、その中で生き抜いて行きます。通常の勧善懲悪の物語では、主人公は内面の希薄な人物になりがちです。言ってみれば、「正義の味方は常に正しい」のであり、その正しさは、「悪役が絶対的に悪い」ということによって成立する、という「記号化」された図式の中では、それぞれの側登場人物の内面の苦悩などは描きようがありません。トリトンの内面のリアルな描出は、声の出演をしている塩谷翼氏の演技力によって可能になったと思います。この戦いの過程では、主人公トリトンは、負け続けると言って良いでしょう。自分を助けてくれる強い味方を次々と失って行きます。「海のトリトン」という作品は、このように、成長してゆくことは、自分を守ってくれるものたちからの別離を伴う、という、成長とは喪失の物語だ、ということを、きちんと描いているという点が魅力なのだろうと思います。トリトンは、最後にポセイドン一族を倒しますが、そこに残ったのは大いなる喪失感であって、悪を倒した達成感ではない、ということは、この物語の論理的な帰結であると言えます。「倒すべき悪」がなくなった時、「正義の味方」も存在し得なくなる、この時点から、青年としてのトリトンの孤独な人生が始まります。物語の背景に、伝奇色を持たせたことは、この作品に広がりを与えました。そのことも、当時としては、斬新なアイディアであったのではないかと思います。後年の富野氏の作品には、こうした作品世界の構築が見られません。その意味では、この作品は富野作品の最高峰であり、これを越える作品を、彼は、この後、生み出していないということは、「未来少年コナン」こそが宮崎駿氏の最高峰であり、その後、彼が、あれ以上の作品を生み出していない事情に似ているように思います。奇しくも、共に、両氏の監督デビュー作ですが、デビュー作を越えるということは、どの監督にとっても難しいもののようです。このような作品としての特徴を別にしても、「海のトリトン」という作品で、私を最も惹きつけるのは、主人公トリトンが、孤独だ、ということに尽きます。トリトンは両親がなく、兄弟も、帰るための家もありません。他の登場人物は存在するものの、トリトンの基本的な姿は、白いイルカに乗ってただひとり孤独な旅をする少年であると思います。この人付き合いが苦手そうで、ちょっと理屈が多く、いつも一人で考えては呟いている、クラスの中に2-3人はいそうな「溶け込めない子供」が主人公であるということが、この作品の魅力の源泉です。そして、親から求められている前時代的な「敵討ち」のようなものに反発しながらも、その運命に巻き込まれていく、という、伝奇的海洋ロマンを背景にした孤独な少年の喪失の旅の悲劇性が、水平線の向こうにある夢の世界への希望をかき立てて止みません。 海のトリトン コンプリートBOX [DVD] 関連情報