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横浜心中 しだれ桜恋心中

 第4回アガサクリスティー賞受賞作なのだから、当然、ミステリー(推理小説)だと思って買う人がいるだろう。だが、そういう人は裏切られることになる。正直な話、私自身も、これが受賞作で良いのかと疑問を持つ。アガサクリスティー賞は、第3回の「致死量未満の殺人」でやや本格ミステリーとしての方向性を取り戻したかに見えた。が、これまでの傾向を見ると、どうも方向性が定まっていないように思える。第1回「黒の遊歩あるいは美学講義」は、タレーランやビブリアにも共通する、ゆるい謎解きの連作短編+α。第2回「カンパニュラの銀翼」は、ホラー風味の強い外国時代ファンタジー。 この「しだれ桜」は、カンパニュラに通じるものがある、というよりも、完全にオカルトホラーファンタジーであり、「推理小説」とは決して言えない。とまあ、ここまでは主催社に対する「小言」、「苦言」である。 それを抜きにして、単体の小説として読んだ場合、この作品はけっこう楽しめた。レビューの数字が極端に悪い(星5個も二人いるが、その二人はこの作品しか評していないので当てにならないし、作者あるいは出版社の回し者ではないかとさえ思えた(笑)。それ以外のレビューはさんざん)。なので、私もこの作品を読むことは躊躇っていた。 だが、ミステリーではないと割りきって読んでみると、これがけっこう面白いのだ。文楽人形が話し出す、その話を聴けるのはごく一部の恵まれた才能の人に限られる、という設定、また、人形と人間とが織りなす「呪い」による殺人など、普通のミステリーではあり得ない設定がふんだんに盛り込まれている(但し、この設定は他のマンガなどに先例があるらしいが)。またその他にも、近親相姦など性的なシーンも登場する。それを嫌悪する人もいるだろうが、全体的にはきれいにまとまっていて、そのことが決して欠点になっていない。 感想をひと言にまとめたのが、レビューのタイトルということになる。ミステリーと期待してはいけないが、一つの娯楽作品としては悪くないと思う。 ただ、賞の主催社である早川書房は、もう少し明確な方向性を決めるべきだろう。「カンパニュラ」や「しだれ桜」のような作品を受賞作にするのは、名を冠したアガサクリスティーに対する侮辱になりはしないだろうか。 しだれ桜恋心中 関連情報

横浜心中 ひまわり

気に入った、と言うより、好きだから探してました。何度聞いても聞き惚れます。手に入って本当に良かった。パワフルな声が元気にしてくれる。 ひまわり 関連情報



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