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オフレコ 1年後の3.11―被災地13のオフレコ話 (SAKURA・MOOK 44)

表紙に描かれている作者は、復興の願いを込めて「カエル」の姿なのだそうですが、このイラストからもうかがえるように、オフレコ話と言うより井戸端会議のような印象でした。経験者の語りではあるけれど、「他人から聞いた話」であり、いちいち裏付け出来ている訳ではない、ある意味無責任でもいられる話、という感じです。あと、肝心のオフレコ話の描写がわかりにくかったです。第2話で描かれた、犠牲者の指をノコギリで切り落とし指輪を抜き取る犯罪については、「盗難はあった」「小さなノコギリを持ってうろつく人、その目的は」という言葉と、指輪をする手の絵、血がしたたる指輪を持つ手の絵、で描かれており、これについては私でも理解出来ました。第7話では、会社と自宅とどちらに戻るか考えた末ご主人が自宅に帰ったという話では、坂道を超えていくご主人と、その坂道いっぱいまで流れ着いているガレキが描かれています。恐らく、会社に戻らなかった判断が正しかった、ここで出会ったおばあさんはきっと被災されたのだろう、ということだと思いますが、とてもわかりにくいです。小さな子供を抱くお母さん(?)が、流されてきた何かに押し流されたらしいシーンも、よくわかりません。浮いているランドセルを抱き上げたら、それを背負っていた子供も一緒に引き上げられた場面も、その子の顔まで描いているのに、実際どのような状態なのか、よくわかりません。こういう場面を取り上げる以上は、もっとわかりやすくハッキリ描写して欲しいと思います。政治家を非難するのも、一般人がよく語ることですし、気持ちわかる気がしますが、あまり繰り返されるのは気持ち良いものではありません。被災地の成人式に派手ないでたちで参加する男の子の話では、その子をいつも励まし理解してくれた祖母のために、自分から元気付ける!というその子の決意が語られています。こういう事情を知らないと、その子はただの能天気な男の子に見えるかもしれません。結局、その人その人の事情を知らないと、偏った考えになってしまうのも仕方ないということなのでしょう。私個人は、このような形で被災され亡くなられた方をお気の毒に思いますが、理不尽な形で家族を亡くした人は、医療過誤、交通事故、殺人事件など、どんな形であれ、気持ちは同じはずだと思っています。災害祈念日に「忘れてはならない」と繰り返されるのは、その災害であるはずなのに、その遺族が「犠牲者を忘れるな」と言い募ることに違和感を感じます。この本の中で語られた、自分が渋滞する車の列から抜け出すために、ビルの入り口に殺到する人達を轢きながら逃げて行った車、この話が事実であるとするならば、これは警察が動くべき話だと思いました。少しでも早期に目撃者を募り、そのひき逃げ犯を検挙すべきです。それなのに、「自分もその立場だったらしてしまうかもしれない怖さ」を語るのは、筋違いも甚だしい!のではないでしょうか?これは他に述べられた、強盗、空き巣、死体損壊等とは比べようもない非道の犯罪だと思います。飼いたちの話や、繰り返し語られる自衛隊や他府県から救援にかけつけた人達への感謝は、この本の読後感を明るいものにしています。やはり1個人の描いたものなので、オフレコというのを、そういう意味で認識しておくと、ちょうど良く読めるのではないかと思います。 1年後の3.11―被災地13のオフレコ話 (SAKURA・MOOK 44) 関連情報




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