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重篤 日本<汽水>紀行―「森は海の恋人」の世界を尋ねて

読んでから知ったのですが、2004年の日本エッセイスト・クラブ賞受賞に納得します。私も生家が牡鹿半島の先端の街だったもので、リアスの海の美しさ、三陸の豊かさは自慢でした。今回の震災被害で田舎の思い出は全部消えてしまいましたが、そこに生活されておられる畠山さんをはじめとする漁業者の皆様のご苦難には心よりお見舞い申し上げます。今回、畠山さんの著書はほとんど拝読させて頂いたわけですが、そのなかで農業者には文筆家も多いが、漁業者に居ないとの指摘を受けたくだりで、ご自身がムッとされたと書かれております。そう言えばそうかなと私も思っておりましたが、でも畠山さんの登場で、誇るべき漁業者としての文筆家が登場した訳で、漁民の子孫として大変誇らしく思います。どの書籍もそうですが、相当な資料の読み込み調査と現地訪問をされており、その分析的な考察はエッセイの範疇とは思われませんし、かといって学術書みたいな退屈さとは無縁ですからその筆力には敬服してしまいます。そして最後には、人間を含めた生物の循環や依存関係の大切さを強く印象付けられております。日本がこれだけ海産物に依存した国なのに、誰もそこにある生活や仕事を書いてこなかったというのは勿体ないことだったんだなぁと思った次第です。肉しか食べない人にもお勧めの一冊。 日本<汽水>紀行―「森は海の恋人」の世界を尋ねて 関連情報




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